2023/05/16 17:00
こんにちは Smartrench です。
前回は、知財アドバイザーの力量について書きましたが、今回は、アドバイスを聞く側を中心に書いてみます。
アドバイザーから情報を引き出すには?
アドバイスを聞く側の力量が試される場面です。 所謂、” 質問力 ” です。
ちょっと話がズレてしまいますが、知財活動を例にしてみます。
知財部員の重要なお仕事として、発明者から発明の内容を聞き取って出願に繋げる ” 発明相談 ”という
お仕事があります。
発明者はその分野の専門家ですが、発明についてピンポイントの技術内容を説明してしまうことがあります。
このとき、あなたが知財部員だとしたら? どのようにしますか?
私だったら 発明者から技術の着想から完成までを事細かに聞き取り、技術の本質になる部分がどこにあるか?
を探っていくようにします。
ここで重要なことは!
発明者が まだ気が付いていないその発明に隠れている技術と、その効果についての説明 を引き出すことができるかどうか。
これを引き出すことができれば、その発明を技術的に強くすることができます。
ちょっと分かりにくいですよね。 事例をつかって説明します。
例えば、金属板の表面に模様や文字を作るときに金属を溶かして作る技術の発明相談を受けたとします。
発明者は金属板の表面に模様とか文字の形をした版(ステンシル って呼ばれたりします)を作って、その版で覆われていない部分を
溶かして作ることを説明してくれました。
金属板は大小様々な形がありますが均一に作れる効果を説明してくれました。
発明者は、版のとおりに作れる手法の発明と考えています。 それだけでよいでしょうか?
私だったら、まず 『なぜ均一に作れるのか』 を突破口に聞き取りを開始します。
金属板には、大きい面積の板や小さい板があるが、すべて均一に作れるのか? を質問します。
発明者が『作れます』 と言って説明してくれます。
次に、面積の違いに対して、何か、事前か、途中で処理をしていることが有るか? を質問します。
それも発明者が説明してくれます。
そうすると、面積の異なる金属板に対して均一に作れる技術なら、金属板の全面ではなくて
部分的に作ることができますか? と質問をします。
発明者は、同様に『作れます』と言って説明をしてくれます。
この時点で、発明者は、金属板全面に模様や文字を作ると考えていた発明は、実は部分的に作ることも
可能な技術であった! ということに気づいてくれます。
そうすると、『 面積に限定されず、面内で均一に作る技術』 となります。
・・・・
このように発明者との話し合いの中から発明を作りあげていくことで技術的に強く広い技術に
していくことが可能と考えています。
質問力をどのように鍛えるかは、個人差がありますので一概にコメントはできませんが
常に多面的に疑問を持つことで鍛えられるのではないかと私は考えます。
かなりお題からズレてしまいましたが、
このように、アドバイスを受ける側もアドバイザー(話し手でもよいですよ)から何を聞き出すか
この点を意識するかどうかで変わってくると思います。
次回は、先行文献の調査について説明してみます。