2023/06/08 12:00
こんにちは、Smartrench です。
ブログ更新に少し間が空きましたが、今回から数回に分け、特許調査をテーマにして基礎編、応用編、
そして実践編について書いてみます。
最初は基礎編として国内の特許調査についてです。
特許調査! 聞くと砂漠で10円玉を探すような難しいイメージ(私だけでしょうか?)がありますが
ポイントさえ押さえておけば始めてでも直ぐに結果を出すことができると思います。
では、押さえておくべきポイントとは?
1.探す技術はどんな技術?
2.特許の明細書の構成と、そこに記載される内容は?
3.キーワードの重み付けは?
4.調査の目的は?
ということを明確にしておくことが大事ではないでしょうか。
そりゃ~違いますよ! 検索式です! とおっしゃる方もおられると思いますが、用語辞典を片手に
複数の検索式を掛け算するだけでは調査が不十分になる場合があります。
私の場合、最短で関係の深いと思われる特許を見つけて、そこから芋づる式に関連特許を探っていきます。
では、最短で検索するにはどうするのか? (我流ですがご参考になれば・・・)
その場合、押さえておくべきポイントの1番目は、技術内容を深く知るということが最も重要です。
例えば、レーザ(*1)を使った加工技術を調査する場合
ちなみに、前述のレーザ*1と表現しているのは、明細書によっては 『レーザー』と表現する場合と
『レーザ』 と表現する場合があるため、調査のときは『ー』を取って検索することがおすすめですよ
と言いたかったので、そのような表現にしています。
特許庁でも検索のマニュアルを作っておられ、その中に同様な注意書きがあります。
話を戻して
レーザを対象物に照射して加工するわけですから加工範囲を決め、その範囲にどれだけの照射量をどの程度
(照射時間)与えるかによって加工状態に差が出る技術と想定するとします。
照射する方法も、対象物とレーザを固定して照射する場合と、対象物、またはレーザが動作(この場合
”走査” とか”スキャン”と呼ばれます)するか、双方が動作して照射する場合などがあります。
さらに詳しく見ていくと、照射方法が近似していても技術分野は分かれることがあります。
対象物の単位面積あたりに照射する技術なら一緒じゃないか と思われる方もいらっしゃると思いますが
照射の方法が異なることで全く別の分野になることも多々ありますので技術内容を深く知るということは
非常に重要と思っています。
なぜか? というと、特許公報に記載される内容は、プロの特許技師さんだけが作成するのではなく、発明者
本人が作成して出願することも多々あります。
そのため、同じ技術であってもその表現はたくさん存在する場合があるからです。
技術の内容を深く知ることで表現は違っても言いたいことは同じ、つまり、権利を取りたい範囲が同じ
という事になるからです。
例えば、レーザを表面だけではなく裏面からも照射するという場合に『裏面』という表現だけではなく、
『後ろ』、『背面』、『加工表面の反対側から』、など『対象物の特徴を使って向き、方向性を表現する
場合があります。
特に特徴を使っている場合、 例えば、『木目調の面』と、『木目が入っていない面』 などと表現されていると
通常の認識ではキーワードに使うことが想定できません。
このようなことがなぜ発生するかというと、発明者や特許技術者の個性が入るからと考えられます。
所謂、関係者だけが認識している 『通り名』的な用語、俗語を使ってしまいがちになっている可能性が
あるからだと思います。
そのため、どのような技術かを深く知り、このような表現が、技術用語が という風に想像することが
特許調査では重要です。
可能であれば、探したい言葉について上位概念的な言葉も使っていないかを調べることも重要かもしれません。
その理由は、権利範囲の拡大を目的とした特許や、技術の本質部分を探す場合に有効であると考えます。
その反面、キーワードに拘り過ぎる場合も、良くない場合があります。
ここで申し上げたいのは、
特許調査では、キーワードを使うとそのキーワードが入っているか、いないか、だけを見に行くだけですから
当然入っていなければ検索から漏れることになります。
この続きは次回にいたします。