2023/06/28 12:00

こんにちは、Smartrenchです。

今回、号外としてこのテーマについて書かせていただきます。

特許出願しても3年以内に出願審査請求をしないと権利化はできませんよね。
以前は、権利化しなくとも他社の出願・権利化を妨害することだけを目的にして出願することがありました。
知財管理のコスト・マネージメントという観点で考えると、 それで良いのか? と考え込んでしまいます。

それはさておき、 
審査を受けた結果として、” 拒絶理由通知 ” が送達された際、皆さんはどのような応答をされていますでしょうか?

今回は、私の応答の考え方を書いてみます。(当たり前だ~って言わないでくださいね)

先ず、通知の内容をさっと読みますが、基本的には!
 『 審査官様の用意した土俵に上がるな! 』 と考えています。

審査の際に、審査基準に基づいて新規性、進歩性、記載要件などを請求項の順番で審査されていきますよね
このとき、STF(技術特徴点)がどこにあるかを見極めて審査がなされます。(単一性など)

発明を構成する要件などが完全に一致する場合には、新規性が無いという審査結果になりますよね。
ここでは、拡大先願規定、所謂、特許法29条の2 も適用されます。

または、審査基準にある 進歩性を否定する条件 を不十分ながら満たしている先行文献があった場合

その文献を補填できる先行文献を探されます。
その際には、先の先行文献を主文献とし、補填的な文献を副文献として組み合わせることができるかどうか
所謂、動機付け が必要となることは、皆さんもご承知かと思います。

しかし、審査に恣意が入らないように用意されている審査基準であったとしても、当業者でない限り
当該技術を100%理解をいただけるかどうかは、分かりません。

ここで重要なことは、審査の段階で権利化したい技術を100%ご理解いただいた上で
先行文献との対比をされているかどうかです。

少し話がズレますが
特許出願の基本的なストーリーとしては、従来技術の説明から技術課題を特定し、課題解決手法を説明する
流れで記載されていますが、昨今の特許出願を拝見していると従来技術の説明の中で問題提起から結論までの
間の説明を割愛している出願が見受けられるように思います。

この記載方法は、出願する立場で考えると、出願時点での当該分野の技術者(当業者)であれば当然に
理解している 技術常識 として考えれば当たり前のことであり、詳述は必要ないとして記載されないことが
多々あると思います。

少し話を戻しますと、
審査段階でこのような記載を確認し、解決しようとする技術課題が同一 と判断されるとしたらどうでしょう?

つまり、少ない情報で審査される審査官様が技術課題の表層と、その結果で得られた発明の効果をみて
先行文献として採用している場合があるのではないか
これを常に念頭に置いて考えるようにしてきました。

そしてそのような場合での応答です。

まず、審査の論理を読んで理解し、先行文献が適切か、そうでないかを見極めるところからスタートします。
正しくない場合には、何が正しくないかを審査対象と比較し、発明の構成要件、技術分野、技術課題、効果、
および実施例に具体的記載が無いかを確認します。
確認した結果を基に、違う点 所謂、技術差異 を明確にします。
当然、正しい先行文献を採用されている場合には、応答は困難になり、権利範囲の減縮を検討せざるを得ない
場合もでてきます。

次に、技術差異を検証して応答の突破口を見つける場合の話ですが、
ここで最も注意すべきは、前述の出願時点での記載とは別格であるということを忘れないようにしないと
いけないということです。

どういう意味かと言いますと、
技術差異について詳述すべきところで、技術常識であると錯覚して応答内容を記載すると
一見、技術差異が説明できているように見えても、当業者であっても理解が大雑把になるということです。

つまり、反証しているが結果は同じではないか? という心象を持たれてしまうということです。

技術差異を説明する際には、先行文献との対比から先行文献に記載された内容を詳述する中で
より正確に、細かな点までを説明することが必要であると思います。
そのうえで、技術差異があることによって導かれる効果を対象の明細書の中から引用するようにすれば
技術差異が明確になり、その点を権利化に繋げていけることになると考えています。

実際の実務の中で、多くの拒絶理由通知を目にしてきましたが、このような考え方で進めることにより
多くの権利化に貢献してきました。

極当たり前のことをお話していますが参考にしていただければ、幸いです。

これからも気になったことがあれば、号外で記載してみようと思います。
ご一読いただけると嬉しいです。