2023/07/27 12:00

こんにちは、Smartrenchです。


前回は、技術分野の特定まで書きました。 今回は、技術課題と、解決する手法を検索することについて書いてみます。

技術課題が明細書のどの部分に記載されているかについては、以前お話しましたので割愛します。
ここで技術課題を探す場合に必要となる考え方を書いてみます。

当たり前のことですが、探す場面にもよって考え方が変わります。

出願前調査の場合に、先ず、出願する技術は何か? ということは掴めていますでしょうか?
出願する技術の権利範囲を狭く考えていないでしょうか? また、その逆に広すぎないでしょうか?

例えば、駆動源を備えた装置の動力伝達部に特徴を持たせた技術(発明、アイデア)を出願しようと考えています。
単に、従来に無かった駆動方法、伝達方法を発明できたと考えて、表面的な効果にとらわれてしまうと
大事な部分を逃してしまう場合があると考えています。

例えば、伝達ロスは、なぜ発生するのか? 一つの考え方として、物理的な伝達部品間のギャップが低減できたので
伝達ロスを低減できたとすると、そこにはギャップを打ち消す、相殺するなどの仕組みがあるはずです。

このように表面的な部分ではなく、より深い部分の効果を理解していくことが出願しようとする技術の本質の部分に
近づいていくと思います。

少し戻しますと、ギャップを打ち消す、相殺する手法がなぜ必要であったか?
これも当然ですが、伝達機構で何を伝達するか、
例えば、ロール紙を搬送する装置を例にすると、
ロール紙を搬送する機構には送り側(川上側)の駆動部がありますが、送り機構だけでは搬送中にロール紙がジャブル
所謂、紙詰まり を起こすことがあります。
そうならないように搬送の送り側と同様に搬送の受け取り側(川下側)にも駆動部を設けることが多々あります。
このとき、送り側と受け取り側の搬送機構にギャップ(一例として、バックラッシュなど)が大きいと搬送エラーや、
ロール紙の蛇行が発生する原因になることがあります。

搬送装置に詳しい方であれば搬送の送り側と受け取り側の同期をとれば良いじゃないか
という答えになると思いますが、単に同期をとるだけでは改善できない場合もあります。
そのような場合には、伝達機構のバックラッシュ低減と、同期タイミング変更などを行うことがあります。
このように原因を深堀していくとバックラッシュ自体を極力低減する伝達機構が発明されていることに気づくときが
あります。
そこに技術の本質となる部分があるとするならば、その内容を言い表すキーワードで、明細書全文に対して検索を
行えばより明確に保護したい権利範囲、または、他社の先行文献が見つかると思います。

次回は、一旦、テーマを変えてみます。