2023/09/07 12:00

Smartrenchです。


今回は、前回よりも少し特殊な出願をご照会する前にこの出願に気づいた経緯からご説明します。

まず、ある技術について特許調査をしていたところ、国内で近似技術を含んだ特許出願を見つけました。
出願人は、同じ技術分野で積極的に特許出願・権利化を進めている会社でしたが、ここで、これまでの
出願とは、ちょっと違った違和感を感じました。

それは、当業者として見ても重要と思われる技術なのに外国出願をしていない点でした。
この時点で既に1年半以上が経過し、出願公開されているため外国出願は不可能な状況でした。

従来であれば、このような重要技術は国内出願した後に製品展開している諸外国に対して
優先権主張出願をする流れでしたが、この出願に関してはその形跡がありません。???

しかし、ここで変なことに気づきました。 『 国内優先権主張出願を行っている!? 』
通常、国内優先権主張出願を行うと基礎となった出願は1年4か月後にみなし取下げとなり、
公報も、経過情報も閲覧することはできなくなります。 当然ですよね。 

でも、閲覧できない原出願を基礎として外国出願していたらどうなるのか? を考え、
一つの仮説をたてました。

 ➡ 原出願の優先権のみを存続させ、外国出願の痕跡を消したのではないか!?

結論から言いますと、私の考えが的中しました。
つまり、原出願を基礎として外国出願を行い、その後、国内優先権主張出願を行って原出願をみなし取下げに
してしまい、優先権のみ存続させることに成功していました。

原出願を確認することは、今となってはできませんがおそらくは同一内容を少しだけ手直しした
程度で優先権主張出願を行い、国内ではこの出願を権利化に進めることとし、一方で外国出願を
期限ギリギリで出願したものと思われます。 ただ、出願のタイミングもあると思います。 

出願日などを特定すると出願人を特定できるため、ここではこれ以上の詳細は記載しません。 
すみませんがご了承ください。

どのような目的でこのような特殊な出願を行ったのかは不明ですが、単純に考えれば
 *競合に外国出願していることを知られ難くすることができる。
 *そして、国内出願に目を向けさせている間に外国出願を権利化に進める。
  つまり、国内出願よりも外国出願に重きを置いている!

分野にもよりますが国内の新規公開をリサーチするだけに止まっている出願人(会社)は
今現在、減ってきていると思いますので、どのような目的があったのか興味があるところです。

次回は、また、違ったテーマで書いてみます。